刺青除去を行う際のクリニック・医師選びのコツ

専門医による刺青除去治療のクリニックや医師選びのコツ

まず一般病院(いわゆるクリニック・開業医)と、総合病院や大学病院の形成外科での刺青治療の比較ですが、この2つでは得意手術のバリエーションが違います。
他科とのコラボレーションが必要な大がかりな再建手術などは、もちろん大病院が得意とする分野です。小さな一般病院では大病院と勝負にならないでしょう。ただし、大きな総合病院ではカバーする施術範囲・分野が広く、様々な治療も行っていますので、一定の専門分野の治療に注目すると、その割合は非常に小さくなります。
逆にクリニックの場合、医師が得意とする専門分野(刺青治療など)の症例が集まり、多くの実績を積むことができることがあります。このため、クリニックの場合は刺青治療などの専門分野における症例数が、総合病院よりも圧倒的に多くなることがあります。また専門分野の症例数を重ねることで、ノウハウが蓄積され様々なケースにも対応することができるようになります。

実際に私が刺青除去手術を初めて行ったのは15年前、総合病院の形成外科勤務の頃でした。総合病院でしたので毎日様々な疾患・外傷・救急の患者さんで忙しい現場でした。そんな一刻一秒を争う救急も多数運ばれる中、刺青治療も様々な治療が行われる中の一つの扱いで、若い医師によってあまり慣れていない雰囲気で治療が行われていました。毎日沢山の手術が行われる中の1つの手術として行われていたので、今とはかけている手間も時間も、全く違うように思われます。

刺青除去治療の実情

クリニックイメージ

世間には、刺青治療に関する様々な本や専門サイトもありますが、掲載されている情報には少し不安を感じています。学会や論文でも刺青除去の症例報告はありますが、よい症例ばかりが報告されており、現在の刺青治療の実情とかい離しているところもあるようにも感じます。医師同士の横のつながりなどもあり、刺青除去で広く行われている切除方法に対する否定的な意見は盛り込みにくいのかもしれません。
美容クリニック等のWebサイトなどに掲載されている刺青除去に関する文章も「こっちの水は甘いぞ」方式が多く見受けられます。心の中では分かっていても、甘い言葉があると頼りたくなる気持ちが沸くのでしょう。しかし、甘い言葉は良い結果を保障するようなものではありません。
クリニックのホームページにある切除治療のビフォー・アフター写真は大量の写真の中からチャンピオン症例(最もうまくいった症例)を数個見せている場合も多く、照明やフラッシュ・画像処理の傑作もあるように感じます。信じて刺青除去の手術を行っても、切除結果が同じになるかどうかは、正直わかりません。
また、アフター写真の中には最終結果ではなく途中経過を載せているものもあります。これらの症例の中に痛みやしびれなどのため、途中で治療を断念した症例も数多く含まれている可能性があります。自覚症状は写真に現れないため、アフター写真を見る場合には、常に自覚症状も意識して想像するしかないのです。治療が完結していれば途中経過を載せる必要はありません。

腕のタトゥー

20代男性 他の有名クリニックで分割切除を2回受けました。2回手術したというのに夜叉の片目しか取れていません。強い拘扼感としびれが生じ、当院へ相談にこられました。

刺青除去におけるクリニック・医師選びコツ

施術イメージ

ではどうしたら、クリニックや医師選びが上手く行くのでしょう。

刺青除去の治療はまだまだ原始時代ですが、今後もおそらく刺青切除の治療法が飛躍することはほぼないと思います。昨今の美容クリニックで流行の照射系や注入系のライトな施術と異なり、刺青除去の施術はニッチな専門分野で、しかも刺青の大きさによっては手術がかなり大規模になる可能性もあるため、それほど多くの医師がこの分野に精通しているとは思えません。
ですので、刺青除去の手術を考えた際に治療を受けるクリニックをご自宅近くの地域などで絞ってしまうと、刺青除去に真剣に取り組んでいる病院はかなり少なくなってしまうかもしれません。(「刺青治療を行っている」といっても、多くの病院の場合、美容外科や形成外科の中の一分野ですので、逆に刺青除去を専門にしているクリニックがないのは当然ともいえるのですが…)

それであれば、少し地域を広げて、刺青除去手術の実績をしっかり持っている専門的な美容外科や形成外科を探すことをお勧めします。また、刺青除去の症例数・実績数だけでは技術力や専門性が分からないことも多いので、複数のクリニックでカウンセリングを受けてみることも場合によっては必要でしょう。
刺青除去治療をレーザーのみでしか行っていない医師は、レーザーをすすめるしかありません。刺青切除・分割切除とレーザーしか行っていない医師は刺青切除・分割切除かレーザーしかすすめることはできません。

美容外科クリニックの場合、顏の手術も行っており植皮等にも対応できる手術のバリエーションや経験が多い医師の意見は重要です。刺青除去の治療に限ったお話ではありませんが、外科や形成外科の医師が自身の腕に自信をお持ちの場合は、顏の手術も必ず行っていると思います。
また、対応がしっかりしているかどうかを確認する方法としては、カウンセリングの際に医師の目を見てよく話を聞いてみることです。少しでも治療に自信がなかったり真実と異なることがあれば自然と目が泳いでいますし、刺青治療の経験が少なければ具体的な治療法や解決策について話ができないことがあるかもしれません。更に本当に自信がない場合にはカウンセラーなどが長く話をして医師は無口を装うでしょう。

さらに手術後についてよい結果しか話さない場合は要注意です。
医師による説明を受けた後に、術後の結果について「いい場合」から「悪い場合」までしっかりと頭にイメージが浮かぶことができなければ、手術を受けることはお勧めしません。また、万が一手術後の結果が悪かった場合にはどうしてくれるのかについても事前に良く聞いておいた方が良いと思います。

場合によっては切除手術の結果が悪かった場合に「体質のせいかもしれないです」と一言で済ませてしまうこともあるかもしれません。これも刺青除去の手術だけではありませんが、基本的にレーザーによる治療でも手術でも、患者さんの体質ではなく医師の対応が術後の結果に影響を与えていることが多いように感じます。
よくある話としては「レーザーを5回してみてダメだったら切除か削皮をしましょう」「分割切除3回の予定でやってみて、効果が出ない場合は削皮か植皮に」といった施術方法に幅を持たせる傾向です。このような場合には似た部位・大きさの刺青切除治療をしたことがない医師である可能性が高く、このような提案は要注意です。
同じくらいの刺青の大きさや、同じ部位の除去手術をしたことがあれば「削皮2回で90%はこのような感じになります」と数枚の写真を見せたり、「残念ながらこのような結果になることも1割程度ありますがこの部位ではまだ実際にこのようになった人はいません。万が一酷くなってしまった場合は、お薬代だけいただいて無料修正させていただきます。」などとかなり具体的なゴールのイメージをお伝えできるはずです。

当然、刺青除去の手術にはガンなどとは異なり手遅れはありませんので、私の場合はカウンセリングにいらした方に対しても、自宅に持ち帰って家族や知人とも十分に話し合ったり、自分で最低数日程度はじっくり考えてから施術を受けるようにお願いしています。また、家族や知人と再度カウンセリングに来られる方も大勢いらっしゃいます。手術ではなくレーザーによる刺青治療だったとしても、やはり多少の傷あとはできますし、その後の治療の選択肢やクオリティーにも関わってきます。一度受けると取り返しのきかない場合すらあります。(実際にレーザーによる刺青除去後は、切除も削皮も結果のクオリティーは落ちていきます。)

ですので、一部の美容外科で行っているキャンペーンや、「今ここで契約すると安いです」のような文言に惑わされなようにしてほしいと思っています。
…そういう場合には、じっくり考えられると困る「何か」があることが世の常です。

刺青除去専門クリニックはこちら
サブコンテンツ